阪急交通社お客新聞に、代表インタビュー記事を搭載いただきました。そちらから抜粋したものをご覧ください。
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2.今月のお話(ライター:池村)
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~社会実業家の使命~
みなさま、いつも阪急お客さま新聞をご愛読くださりありがとうございます。
情報システム課の池村と申します。
本年もよろしくお願いいたします。
私の2019年最も大きな出来事は、国際協力NPOのメンバーになったことです。
6月にミャンマー祭りの当NPOブースの幹事を務め、8月は映像制作のためタイ・ミャンマー国境周辺へ、9月はグローバルフェスタの当NPOブースの幹事を務めさせていただきました。
グローバルフェスタジャパン2019
完成した動画 「国境の医療者」PR
今回は、新年会でお会いした私たちのNPOを支援してくださっている吉沢康弘(以下、吉沢)さんのお話です。
吉沢康弘さん
・お嬢さんの不登校をきっかけに東南アジアへ
吉沢さんは、不登校になったお嬢さんに日本以外の世界を見てもらおうと思い、まずは単身でタイ・ミャンマー国境を訪れました。
ここでミャンマー難民・移民の人々の状況を目の当たりにし、彼らを支援している現地のクリニックへ「1年後に100万円を寄付する」と自分に約束し、サラリーマンを辞め起業することを決意したのでした。
吉沢さんは1年後、まだ事業が苦しい状態ながらもその約束を果たします。
お嬢さんと一緒に現地を訪れ、100万円を寄付。
吉沢さんの支援には、日本人としてミャンマー少数民族の人々への恩返しの思いがあると話してくださいました。
・インパール作戦後の敗走
第二次大戦中の1944年3月、連合国軍から蒋介石の国民党政府への物資補給路を遮断するため、日本軍は占領下のビルマからインドのインパールを攻略する“インパール作戦”を開始しました。
しかし、その計画の無謀さのため反対意見が多いにも関わらず押し通された作戦は、4ヶ月後に中止。参加兵10万人中、死者3万人、戦傷病者4万5千人、「史上最悪の作戦」となりました。
その退却路は、マラリアや赤痢で病死・飢えで餓死する兵の死体で埋め尽くされたことから「白骨街道」と呼ばれています。
少数民族の人々は、彼らの集落に命からがらたどり着いた日本兵たちに食料を与え、看病などをしてくれたそうです。中には日本に帰還せずに少数民族として生きることを選択し、未帰還兵となる日本人もいました。
吉沢さんは未帰還兵の一人・中野弥一郎さんのご家族に会ったそうです。中野さんは衛生兵としてインパール作戦参加中に砲弾の破片で負傷、捕虜となりましたが収容所を脱走し、カレン族に助けられ、その後の人生をカレン族として歩んだ未帰還兵でした。
・自由戦士乃碑
タイ・ミャンマー国境の街・メーソット郊外に「自由戦士乃碑」と日本語で書かれた石碑があります。
カレン民族解放軍(KNLA)に義勇兵として参加して亡くなった日本人3名の慰霊碑です。
中でも、現在も生きていれば吉沢さんと同じ年齢のIさん(1995年に25歳で戦死)に強い思い入れがあるとのことでした。彼ら日本人義勇兵のカレン族に対する献身も吉沢さんの心をつかんで放さないものとなりました。
ミャンマー難民・移民の人々が置かれている状況を少しでも良くしたいという思いと、彼らへの感謝の気持ちこそ吉沢さんが支援を続ける理由であり、仕事のモチベーションなのです。
・社会実業家の使命
吉沢さんは、2015年に起業した「株式会社吉沢車輌」の代表取締役社長をされています。事業内容はパッカー車(ごみ収集車)の出張修理・中古車販売です。
車両が故障すると予備を保有せずギリギリでまわしている小規模の事業者は業務が止まってしまい、ごみの収集もされません。(メーカーが休みの土日や夜間は特に困る)
吉沢さんの会社の強みは土日夜間対応可・全メーカー対応可というところ。
民間事業者にとっては縁の下の力持ち、私たちの生活を影から支えてくれています。
最近、中古車販売事業の方でとても嬉しいことがあったそうです。
買い取った中古車を徹底的に修理して販売するのも吉沢車輛の強み。その利益を全額寄付にまわしたことを売買した両社に報告したところ非常に喜んでくれて、みんなwin-winの関係を築けたそうです。
「世の中により良いお金の流れをつくる」
社会実業家の使命だと吉沢さんは話してくれました。
吉沢さんは続けます。
「社会実業家の使命を自分なりの方法で果たそうとしているだけです。一人でも多くの人が『世の中、捨てたもんじゃないぞ…』って思う事が出来たら、自分と同じ気持ちで誰かを助ける事が出来たら、それだけで最高です。」
吉沢さん、貴重なお話をありがとうございました。
ご興味を持っていただけましたら、以下の映画・書籍が参考になると思います。
【映画】
・松林要樹監督 DVD『花と兵隊』(東風)
・シルベスター・スタローン監督 DVD『ランボー 最後の戦場』(ギャガ)
【書籍】
・将口泰浩(2008) 『未帰還兵(かえらざるひと)二十六年目の証言』(産経新聞出版)
・松林要樹(2009) 『ぼくと「未帰還兵」との2年8ヶ月「花と兵隊」制作ノート』(同時代社)
・今村昌平(1996) 『遥かなる日本人』(岩波書店)
・高部正樹(2008) 『戦友 名もなき勇者たち』(並木書房)
【ウェブサイト】
・「経営者インタビュー・株式会社吉沢車輌代表取締役 吉沢康弘」B-plus
・ミャンマー難民・移民の状況については2019年4月の記事をご覧ください
(ライター:池村)
阪急交通社お客新聞はこちらからご覧ください。
池村さん、素晴らしい記事をありがとうございました。
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